世界中から選び抜かれた拘りの素材
世界中より集められ、丁寧に創られた吟醸革の中から、
大峽製鞄が誇る職人(裁断士)が革を選別していきます。
そこから裁断をする大きさに合わせさらに目利きを凝らし、採る(裁断)箇所を見つけていくのです。
大峽製鞄では「裁断」という工程をとても大切にしています。
一枚一枚、素材の感触を読み解き、商品の使われる状況に応じ、
目やタチ(性質)にあわせ裁断する。
抜き採るパーツに合わせ革のどの部分を採用するか、
そしてどのように「トラ」や「シワ」を美しく魅せ採用するかは、
裁断士にとっての経験や哲学に基づいた、もはや『デザイン』であると考えます。
また、「鞄」を裁断する職人、「革小物」を裁断する職人はそれぞれ一人ずつ、
複数人の手によって裁断することはありません。
それは、ひとつの哲学のもと裁断する向きや箇所などがデザインされたものに対し、
異なる考えが同じ製品の中に混ざることが決してないようにしています。
ある革は平たく寝かせ、また、ある革は表皮の仕上がりにより表捲きや裏捲きなど
束ね捲く向きを工夫しています。
渋革などは日除けをし、縦置きされたオイルを多く含んだ材料などは重みにより移動する油分を
定期的にひっくり返すなど保管方法をそれぞれ変えています。
素材の特性に合わせた保管方法、湿度や温度など徹底した管理のもと素材を取り扱っており、
一つの製品のなかで使われる外装内装などの異なる複数素材の相性など、
大峽製鞄の素材への探求は永遠に引き継がれていきます。
現存する最高品質による極上革をご堪能いただけます。
《 大峽製鞄 厳選の素材 》

サンタクローチェ®・カーフレザー
【BTL / MBL / MBX】
イタリア、サンタクローチェ地方で営々と築かれてきた歴史的な製法の素材。
天然植物性タンニンでゆっくりなめし、染料だけで手染め仕上げしています。
日本の市場では、色落ちに大変神経質なため色止めするのが通例ですが、これでは均一な見た目、人工的な感触の革になってしまいます。
当社で使用するこの革は、革にこだわりのあるメゾンが好んで使用しており、世界中の名だたるスーパーブランドへも供給しています。
そして色止めをしておりませんので、そのため、キズも付きやすく、やや色落ちもします。
その反面、使い込むほどにキズも目立たなくなり、艶が増し、色が濃くなり、革の味が良くなって革本来の風合いを楽しむための“本格的な自身作”となるのです。
ジャーマンシュリンクレザー【GMS】
日本の江戸時代にあたる1864年にドイツで創業した、現在に至るまで熟練した職人の手仕事で革を作り続けているタンナーのイチオシのレザーです。
欧州の牧場で丁寧に飼育されたカーフをこれ以上縮められないほどに「シュリンク(革を薬剤で縮める作業)」させたこちらの素材は、元来、フランスの高級皮革製品で知られる某メゾンブランド用に開発されたと言われ、同社の厳しいスペックをクリアするため、引き裂き強度や引張強度、染色堅牢度などすべてがハイレベルに設定されています。
日常使いに適した強力な耐久性と持ち味豊かな弾力性が共存する肉厚な革で、ソフトな質感もとても魅力なシュリンクカーフレザーです。
色鮮やかな発色性もさることながら、シュリンクすることで現れる、粒だったシボの高低差から生まれる深みある奥ゆかしい色合いも特徴です。
ヨーロピアン・カーフ【ECF】
ヨーロッパでも随一のレザーメーカーに特注した仔牛革です。
欧州において、良き原皮と言えばまずスイス、ついでドイツ南部、北フランス、ベルギーなどが有名ですが、西欧はもとより優れた素材の宝庫として名高い各地方から高品質な原皮のみをセレクトし、伝統あるクローム鞣し製法や染色を施して作り上げられたカーフです。
通常のタンニングの限界を超えたレベルに挑戦し、出来上がったのがこのヨーロピアン・カーフです。
当社が使用するこの革は、欧州の中でも他と一線を画す高品質に、欧米のラグジュアリーブランド、一流皮革製品メーカーの使用率が高い貴重な素材です。
型押しレザーならではのキズの目立ちにくさ、発色の良さなどから、日常使いのアイテムに重宝される素材として、大峽製鞄でも多くの革小物の素材として採用しています。

ブリティッシュ・ブライドルレザー【BRD】
乗馬の本場、英国にて馬具用素材として開発されたブライドルレザー。
革に何度もワックスを塗り込み、耐久性を高めているのが特徴で、そのため水が浸透しづらい丈夫な素材です。
表面に「ブルーム」というワックスが白く染み出た跡があるのも特徴で、このブルームは使い込むほどに馴染み、しっとりとした上品な光沢が生まれます。
馬具の中でも特に堅牢性が求められる手綱に使用されていたことから、革らしい表情をを残しつつも機能性にも長けた素材と言えます。
当社が使用するのは、ビット鞣しと呼ばれる昔ながらのタンニンによる時間と手間をふんだんにかけた鞣し、一枚ずつの染料仕上げ、さらに革の表面にグリースを手で塗り込んで完成させています。
ノーザンプトン皮革学校で革づくりの基本を学んだ若きマイスターによる伝統的なキャリング製法はブライドルレザーの真髄と言えます。

ベルギー・サドルプルアップ【SDL】
サドル(saddle:鞍)の名の通り、元々乗馬に使う馬具(鞍)用の素材として用いられてきたことから堅牢性、耐久性に優れており、ヘビーデューティーな素材として人気があります。
一般的なタンニン鞣しの革に比べて油分を多く含んでいるのが特徴で、「プルアップ(pull-up)」とは、革を折り曲げた際に皮革内部の染料がオイル分と共に移動し皮革表面の濃淡が変化する現象のことです。当社が使用するのは、ベルギーの高級タンナーにより古典的な製法でじっくりと鞣された最上級のサドルレザーです。
透明感のある光沢は使い込むほどに味わい深く、さらに輝きを増していきます。薄化粧の革は呼吸しながら生き続け、キズも付き色も変化しながら持ち主と共に時を刻んで行きます。
